音楽受験対策オンライン塾 楽典教材 単元13 / 全22単元 目次へ
楽典 UNIT 13

移調楽器

Transposing Instruments

⏱ 学習目安 50分 📝 演習 10問 ✏️ 添削課題 50点 ⭐ 重要度 高
4
主な移調管
B♭管
最重要
実音
計算目標
10問
演習問題数
この単元について
移調楽器は「楽譜の音(記音)」と「実際に聞こえる音(実音)」が異なる楽器。スコアリーディング・管弦楽法の基礎として音楽大学受験に頻出する中級の重要単元。
この単元で身につけること
  • 「記音」と「実音」の概念と違いを説明できる
  • B♭管楽器(クラリネット・トランペット)の移調方向を計算できる
  • E♭管(アルトサックス)とF管(ホルン)の移調を計算できる
  • 調号の変換(記音の調→実音の調)が正確にできる
  • スコアを見て移調楽器の実音を読み取る基礎力が身につく
学習の進め方
1
移調楽器とはタブで「記音」「実音」の概念を理解(10分)
2
B♭管楽器タブで最重要の変換を徹底練習(15分)
3
E♭管・F管タブとホルンの計算を確認(10分)
4
演習10問添削課題提出(15分)
受験での重要度:高
スコアリーディング問題・管弦楽編曲問題で毎年出題される。B♭管は長2度↓(記音→実音)が最頻出。ホルン(F管)の完全5度↓も要確認。調号の変換(♯♭の個数が変わる)を忘れずに。
移調楽器とは(なぜ移調するか)
楽器の構造上、楽譜に書かれた音と実際に鳴る音が異なる楽器を「移調楽器」という。なぜこのような仕組みになったのかを理解することが大切。
記音と実音の違い
記音(Written Pitch)
楽譜に書かれた音。奏者が「C(ド)」と読む音。運指・指使いの基準となる。
実音(Sounding Pitch)
実際に聞こえる音。Concert Pitch(コンサートピッチ)とも。ピアノのCと同じ音高。
移調楽器の例:B♭管クラリネット
奏者が楽譜の「C(ド)」を押すと、実際に出る音は「B♭(シ♭)」。奏者はピアノの「C」と同じ指使いで覚えているが、実際に鳴る音は違う。
なぜ移調楽器が存在するか
① 楽器の構造上の理由:
管楽器は管の長さによって基音が決まる。B♭管クラリネットはB♭音が最も安定して鳴りやすい構造を持つ。

② 運指の統一のため:
サックス(ソプラノ・アルト・テナー・バリトン)は全て異なる調(B♭・E♭・B♭・E♭)だが、全て同じ指使いで演奏できる。これにより複数の楽器に持ち替えが容易。

③ 歴史的経緯:
19世紀以前の管楽器はキーが少なく、特定の調でしか演奏できなかった。複数のサイズの楽器を用意することで異なる調に対応した。その名残が現代の移調楽器表記に残っている。
スコアリーディングでの重要性:オーケストラや吹奏楽のスコア(総譜)を読む際、移調楽器の記音を実音に変換する必要がある。指揮者・作曲家・アレンジャーにとって必須の知識。
移調楽器の一覧(全体把握)
楽器調記音→実音実音→記音
B♭クラリネットB♭管長2度↓長2度↑
トランペット(B♭)B♭管長2度↓長2度↑
ソプラノサックスB♭管長2度↓長2度↑
テナーサックスB♭管長9度↓(1オクターブ+長2度)長9度↑
アルトサックスE♭管長6度↓長6度↑
バリトンサックスE♭管長13度↓長13度↑
ホルン(F管)F管完全5度↓完全5度↑
E♭クラリネットE♭管短3度↑(!逆向き)短3度↓
B♭管楽器(最重要)
クラリネット・トランペット・ソプラノサックスなど最も多くの楽器が属するB♭管。記音と実音の関係を確実にマスターする。
B♭管の基本ルール
記音 → 実音
長2度 ↓
楽譜より長2度低い音が鳴る
実音 → 記音
長2度 ↑
実音より長2度高く楽譜に書く
記音→実音の計算例
記音 C → 長2度↓ → 実音 B♭ (ドを吹くとシ♭が鳴る)
記音 D → 長2度↓ → 実音 C (レを吹くとドが鳴る)
記音 G → 長2度↓ → 実音 F (ソを吹くとファが鳴る)
記音 A → 長2度↓ → 実音 G (ラを吹くとソが鳴る)
実音→記音の計算例
実音 C → 長2度↑ → 記音 D (ドを鳴らすにはレを書く)
実音 F → 長2度↑ → 記音 G (ファを鳴らすにはソを書く)
調号の変換(B♭管)
B♭管の記音の調は実音の調より♯が2つ多い(または♭が2つ少ない)。
実音の調記音の調調号の変化
C長調(♯♭なし)D長調(♯2個)♯が2個増える
F長調(♭1個)G長調(♯1個)♭1個→♯1個
B♭長調(♭2個)C長調(♯♭なし)♭が2個減る
E♭長調(♭3個)F長調(♭1個)♭が2個減る
受験ポイント:「B♭管楽器の楽譜はC長調(調号なし)で書かれていても、実際に聞こえるのはB♭長調(♭2個)」。これは最頻出パターン。記音D長調(♯2個)→実音C長調(♯♭なし)も重要。
B♭管楽器の一覧
楽器移調方向備考
B♭クラリネット長2度↓最も代表的なB♭管楽器
B♭トランペット長2度↓吹奏楽・オーケストラの主役
ソプラノサックス長2度↓ジャズで活躍
テナーサックス長9度↓(1オクターブ+長2度)ジャズのテナー奏者
コルネット(B♭)長2度↓ブラスバンドで使用
E♭管・F管・その他の移調楽器
アルトサックス(E♭管)とホルン(F管)は受験頻出。移調方向をしっかり覚えること。
E♭管楽器(アルトサックス)
記音 → 実音
長6度 ↓
楽譜より長6度低い音が鳴る
実音 → 記音
長6度 ↑
実音より長6度高く楽譜に書く
記音 C → 長6度↓ → 実音 E♭ (ドを吹くとミ♭が鳴る)
実音 C → 長6度↑ → 記音 A (ドを鳴らすにはラを書く)
調号の変換(E♭管アルトサックス):記音の調は実音の調より♭が3個多い(♯が3個少ない)。
実音の調記音の調(アルトサックス)
C長調(♯♭なし)A長調(♯3個)
F長調(♭1個)D長調(♯2個)
B♭長調(♭2個)G長調(♯1個)
F管楽器(ホルン)
記音 → 実音
完全5度 ↓
楽譜より完全5度低い音が鳴る
実音 → 記音
完全5度 ↑
実音より完全5度高く楽譜に書く
記音 C → 完全5度↓ → 実音 F (ドを吹くとファが鳴る)
記音 G → 完全5度↓ → 実音 C (ソを吹くとドが鳴る)
実音 C → 完全5度↑ → 記音 G (ドを鳴らすにはソを書く)
調号の変換(F管ホルン):記音の調は実音の調より♯が1個多い(♭が1個少ない)。
実音の調記音の調(ホルン)
C長調(♯♭なし)G長調(♯1個)
F長調(♭1個)C長調(♯♭なし)
B♭長調(♭2個)F長調(♭1個)
ホルンの特殊性:ホルンは歴史的にスコアでは無調号で書かれ、調性を「in F」「in E♭」などと別途指定することが多かった。現代のスコアでは適切な調号で書くことが増えている。
E♭クラリネット(特殊・逆方向)
E♭クラリネットは記音より短3度高い実音が出る(他の多くの移調楽器と逆方向)。
記音C → 実音E♭ではなく、記音C → 実音E♭(短3度↑)
※ 実際は「E♭管楽器の中で記音が低く設定されている」と理解するとよい
移調計算の手順(まとめ)
試験本番で使える計算の手順を整理する。音名の変換と調号の変換の2ステップが基本。
ステップ1:移調楽器の種類を確認
楽器の種類記号/表記記音→実音の方向音程
B♭管(クラリネット等)in B♭長2度↓
E♭管(アルトSax等)in E♭長6度↓
F管(ホルン)in F完全5度↓
E♭クラリネットin E♭ (Cl)↑(逆!)短3度↑
ステップ2:音名を変換する
例:B♭管クラリネットの記音「E(ミ)」を実音に変換
① E から長2度下 = D(レ)
② 答え:実音は D(レ)
例:ホルン(F管)の記音「A(ラ)」を実音に変換
① A から完全5度下 = D(レ)
② 答え:実音は D(レ)
ステップ3:調号を変換する(旋律全体の場合)
例:B♭管クラリネットの楽譜が「D長調(♯2個)」のとき、実音の調は?
① B♭管は記音が実音より長2度高い
② D長調の主音D から長2度下 = C
③ 答え:実音は C長調(♯♭なし)
B♭管(長2度↓)E♭管(長6度↓)F管(完全5度↓)
記音の調号の変化♯+2(♭−2)♯+3(♭−3)♯+1(♭−1)
実音→記音の変換♯増・♭減♯増・♭減♯増・♭減
計算の確認方法:変換した後、「楽器名 in ○○」の「○○」と同じ音が記音Cのときの実音になっているか確認する。B♭管なら記音C→実音B♭、F管なら記音C→実音F、E♭管なら記音C→実音E♭となれば正しい。
まとめ早見表
楽器記音C→実音実音C→記音記音C長調→実音調
B♭クラリネットB♭DB♭長調
B♭トランペットB♭DB♭長調
アルトサックス(E♭)E♭AE♭長調
ホルン(F管)FGF長調
演習問題(10問)
移調楽器の記音・実音変換の問題です。8問以上で添削課題へ進んでください。
添削課題(単元13)
紙に答えを書いて写真撮影後、LINEで「楽典 単元13」と明記して提出してください。
提出方法:① A4白紙に問題番号と答えを記入 ② スマホで撮影 ③ LINEの「課題提出」メニューから送信
問1 — B♭管の記音→実音(10点)
次の記音をB♭管クラリネットの実音に直せ(各1点):
① C ② G ③ E ④ B ⑤ F♯ ⑥ A ⑦ D ⑧ E♭ ⑨ A♭ ⑩ B♭
各1点。変化音の書き忘れに注意。
問2 — F管(ホルン)の実音→記音(10点)
次の実音をホルン(F管)の記音に直せ(各2点):
① C ② G ③ D ④ A ⑤ E
各2点。
問3 — アルトサックスの調変換(10点)
アルトサックス(E♭管)の楽譜にC長調(調号なし)で書かれた旋律を実音で演奏すると、実際に聞こえる調はどの調か答えよ。また、記音C(ド)の実音は何か答えよ。(各5点)
調名5点・実音5点。
問4 — 移調楽器一覧表(10点)
移調楽器一覧表を作成せよ。楽器名・調・記音→実音の移調方向・実音→記音の移調方向を含めること(最低4楽器)。
各楽器2.5点(4楽器×2.5点)。調号の変化も書ければ加点。
問5 — 移調楽器の存在理由(10点)
なぜ移調楽器が存在するかを、以下の2点から説明せよ:
① 歴史的背景(楽器の発達と運指の統一)
② 現代的意義(スコアリーディング・管弦楽法との関係)
①5点・②5点。
採点基準(講師用)
配点合格目安主な失点パターン
問1 B♭管変換10点8点変化音の書き忘れ
問2 F管変換10点8点完全5度の計算ミス
問3 E♭管調変換10点8点記音Cが実音E♭と誤解
問4 一覧表10点7点移調方向の上下を誤る
問5 存在理由10点6点「運指の統一」に言及なし
合計50点40点以上で次単元へ