音楽受験対策オンライン塾 楽典教材 単元16 / 全22単元 目次へ
楽典 UNIT 16

和声分析基礎

Basic Harmonic Analysis

⏱ 学習目安 70分 📝 演習 10問 ✏️ 添削課題 50点 ⭐ 重要度 高
7
機能ローマ数字
T–S–D
機能
数字付き低音
記号
10問
演習問題数
この単元について
和声分析は音楽の「文法」を読む技術。ローマ数字でどの和音かを示し、T/S/Dで機能を分類し、カデンツで進行のパターンを把握する。
この単元で身につけること
  • ハ長調の全7和音(I〜VII°)をローマ数字で表せる
  • T(トニック)・S(サブドミナント)・D(ドミナント)の機能分類を即答できる
  • 完全終止・半終止・偽終止・変格終止を区別できる
  • 楽曲の和声分析手順(調性確定→和音特定→機能記号)を実践できる
  • 声部連結の基本ルール(導音解決・連続5度禁止など)を説明できる
学習の進め方
1
ローマ数字和音記号タブでハ長調の7和音を覚える(20分)
2
機能和声タブでT/S/D分類と声部規則を確認(15分)
3
カデンツタブで4種の終止形を整理(15分)
4
分析手順演習10問添削課題提出(20分)
受験での重要度:高
和声分析は音楽大学入試の筆記試験で頻出。特にV7の解決(導音→主音)終止形の種類転回形の数字付き低音は確実に押さえること。I・IV・V(T/S/D)の暗記が出発点。
ローマ数字和音記号
各和音を調内での「位置」でローマ数字表記する。大文字=長三和音、小文字=短三和音、°=減三和音。
表記の規則
大文字 = 長三和音
I 主和音
IV 下属和音
V 属和音
小文字 = 短三和音
ii 上主和音
iii 中和音
vi 下中和音
ハ長調の全7和音
記号音名構成音種類日本語名機能
I C和音C–E–G 長三和音主和音 T
ii D和音D–F–A 短三和音上主和音 S
iii E和音E–G–B 短三和音中和音 T
IV F和音F–A–C 長三和音下属和音 S
V G和音G–B–D 長三和音属和音 D
V7 G7和音G–B–D–F 属七和音属七和音 D
vi A和音A–C–E 短三和音下中和音 T
vii° B和音B–D–F 減三和音導音和音 D
大文字・小文字のすぐわかる覚え方
長調の音階上に和音を積む順番:I(大)→ ii(小)→ iii(小)→ IV(大)→ V(大)→ vi(小)→ vii°(減)。1・4・5度は大文字(長三和音)、2・3・6度は小文字(短三和音)、7度は減和音。
転回形の記号
記号例数字付き低音バス音(C和音の場合)
基本形I省略C(根音)
第1転回形I66E(第3音)
第2転回形I646/4G(第5音)
V7の第3転回形V424/2(略:2)F(第7音)
機能和声(T・S・D)
和音はその「機能」によって3グループに分類される。T(トニック)・S(サブドミナント)・D(ドミナント)。
3機能の特徴
T トニック
I, iii, vi
安定・休止感
曲の始まりと終わり
S サブドミナント
IV, ii
準安定・方向感
Tを離れる動き
D ドミナント
V, V7, vii°
緊張・解決要求
Tへ戻る力
基本的な機能の流れ
最も基本的な和声進行
T S D T
例:I → IV → V → I(ハ長調:C → F → G → C)
声部連結の基本規則
規則内容理由
導音の解決 VII度音はI度音(主音)へ半音上行 導音(leading tone)は主音への引力を持つ
V7の第7音 第7音(F)は下行(→Eまたは→D方向へ) 不協和音程は「解決(下行)」が原則
連続5度禁止 異なる声部間で完全5度が連続してはならない 声部の独立性が失われ響きが単調になる
連続8度禁止 異なる声部間で完全8度(同音)が連続してはならない 2声部が1声部に見えてしまう(声部消失)
滑らかな動き 各声部はできるだけ順次進行(隣接音への移動) 歌いやすく自然な声部運動
vii°(導音和音)がドミナント機能を持つ理由
ハ長調のvii° = B–D–F。これはV7(G–B–D–F)からGを省いた形。つまりV7の緊張感を持ったまま3音だけで表した和音。だからD(ドミナント)機能と分類される。
カデンツ(終止形)の種類
フレーズや楽曲の区切りに使われる和音進行のパターン。4種類を区別して聴き分け・分析できるようにする。
4種類の終止形
① 完全終止(Authentic Cadence)
V または V7 I(基本形)
最も完結した終止。曲の最後によく使う。Iが基本形でないと「不完全終止」になる。
② 半終止(Half Cadence)
I / ii / IV など V(で止まる)
Vの和音で終わり、未解決感が残る。次のフレーズへの橋渡し。「問いかけ」のような感覚。
③ 偽終止(Deceptive Cadence)
V vi(予想外の解決)
Iへの解決が予想されるところをviで「裏切る」進行。感動・驚き・余韻を与える効果。
④ 変格終止(Plagal Cadence)
IV I
「アーメン終止」とも呼ばれる。完全終止より柔らかく神秘的な印象。賛美歌や宗教音楽に多い。
終止形を聴き分けるコツ
完全終止→「完結・終わった感」、半終止→「次に続く感・問いかけ」、偽終止→「あれ、予想と違う!感動・余韻」、変格終止→「穏やか・宗教的なアーメン」。実際の曲を聴きながら確認しよう。
「不完全終止」について
V→Iの進行でも、Iが第1転回形(I6)や第2転回形(I6/4)だと「不完全終止」と呼ぶ。完全終止はI基本形への解決が条件。受験問題では「完全終止か不完全終止か」を問われることもある。
和声分析の手順
楽譜を見て和声分析を行う際の、実践的な6ステップの手順。
6ステップの分析手順
1
調性を確定する:調号を確認し、終止音・最後の和音から主調を特定する
2
バス音と和音を特定:小節ごと(または拍ごと)にバス(最低音)と上部声部を確認し、構成音から和音を特定する
3
基本形か転回形か確認:バス音が根音かどうかを確認。根音でなければ転回形。
4
ローマ数字を書く:I・IV・V など(転回形なら I6 / I6/4 など数字付き低音を添える)
5
機能記号 T / S / D を加える:各和音の機能を書く(例:I=T、IV=S、V=D)
6
カデンツ箇所を特定・命名:フレーズの終わりでどの終止形が使われているか確認する
実践例:ハ長調の分析
和声進行:C–Am–F–G(各1小節)
和音構成音ローマ数字機能備考
CC–E–GIT主和音・基本形
AmA–C–EviT下中和音・基本形
FF–A–CIVS下属和音・基本形
GG–B–DVD属和音→次のIへ(半終止で終わる場合)
機能の流れ:T → T → S → D。GのあとにCへ戻れば「完全終止」でフレーズが閉じる。
よくある間違い:「viはサブドミナント機能だ」と思いがち。正しくは vi はトニック(T)の代理。viとIは構成音の2/3が共通(A–C–E と C–E–G)なので、Iの代わりに使える。V→viの偽終止もここから来る。
演習問題(10問)
和声分析・機能・終止形に関する問題です。8問以上で添削課題へ進んでください。
添削課題(単元16)
紙に答えを書いて写真撮影後、LINEで「楽典 単元16」と明記して提出してください。
提出方法:① A4白紙に問題番号と答えを記入 ② スマホで撮影 ③ LINEの「課題提出」メニューから送信
問1 — ハ長調の7和音表(10点)
ハ長調の全7和音(I〜VII°)の構成音・ローマ数字・機能(T/S/D)を表にせよ。
各1.5点(構成音0.5点・ローマ数字0.5点・機能0.5点)×7和音 = 合計10.5点(10点満点に丸める)。
問2 — 和声進行の分析(10点)
次の和音進行を分析せよ(ハ長調):C–Am–F–G。各和音のローマ数字・機能・この進行のカデンツ名(Gの後にCへ解決すると仮定)を答えよ。
各和音2点(ローマ数字1点・機能1点)×4和音 = 8点。カデンツ名2点。
問3 — 終止形の説明(10点)
「完全終止」「半終止」「偽終止」「変格終止」の4つの終止形について、和音進行・機能の流れ・聴こえ方の違いを説明せよ。
各終止形2.5点(和音進行1点・機能1点・特徴0.5点)。
問4 — ト長調の和声分析(10点)
以下の進行を和声分析し、各和音にローマ数字と機能を付けよ(ト長調):G–C–D–G(4拍ずつ)。
各和音2.5点(ローマ数字1点・機能1点・構成音確認0.5点)。調性確定の説明(調号の確認)は加点対象。
問5 — 声部連結の規則(10点)
声部連結の規則(連続5度・8度禁止・導音解決・V7第7音下行)をそれぞれ説明し、なぜそのような規則があるか理由を述べよ。
各規則2.5点(規則の説明1.5点・理由1点)。
採点基準(講師用)
配点合格目安主な失点パターン
問1 7和音表10点8点iii・viの機能(T)の誤り
問2 進行分析10点8点カデンツ名の誤り
問3 終止形10点7点偽終止と半終止の混同
問4 ト長調分析10点8点調性確定の漏れ
問5 声部規則10点6点理由の説明が不十分
合計50点40点以上で次単元へ