楽典 UNIT 05
三和音・機能和声
Triads · Functional Harmony
4
三和音の種類
3
和声機能(T・S・D)
3
転回形の種類
10問
演習問題数
この単元について
和声学の入口。三和音の構造を理解し、ハ長調でトニック・サブドミナント・ドミナントを即答できる力を養う。
この単元で身につけること
- ●長・短・増・減 三和音の音程構成(長3度・短3度の組み合わせ)を即答できる
- ●T(トニック)・S(サブドミナント)・D(ドミナント)の機能と代理和音を理解する
- ●ハ長調・ト長調でI・IV・V・V7和音の構成音を瞬時に書ける
- ●基本形・第1転回形(六の和音)・第2転回形(四六の和音)を識別できる
- ●VII° 和音がドミナント機能を持つ理由を説明できる
学習の進め方
1
三和音の種類タブで4種の構造を確認(15分)
2
機能和声タブでT・S・Dの配置を覚える(20分)
3
ハ長調の全和音タブで五線譜ごと確認(15分)
4
演習問題10問 → 添削課題提出(25分)
受験での重要度:最高
和声・対位法・楽式の全問に関連する基盤知識。特に機能和声の三機能とvii°のドミナント機能は頻出。IV と ii のサブドミナント機能の違いも要注意。
和声・対位法・楽式の全問に関連する基盤知識。特に機能和声の三機能とvii°のドミナント機能は頻出。IV と ii のサブドミナント機能の違いも要注意。
三和音(Triad)とは
ある音(根音)の上に3度ずつ2音を積み重ねた3音の和音。根音・3度・5度の構成音からなる。
4種類の三和音
長三和音(Major Triad)
長3度 + 短3度 = 完全5度
例:ハ長調のI・IV・V度
短三和音(Minor Triad)
短3度 + 長3度 = 完全5度
例:ハ長調のII・III・VI度
増三和音(Augmented Triad)
長3度 + 長3度 = 増5度
不安定・緊張感が強い
減三和音(Diminished Triad)
短3度 + 短3度 = 減5度
例:ハ長調のVII度(シレファ)
種類の判定チャート
| 種類 | 根音〜3度 | 3度〜5度 | 根音〜5度 | 記号 |
|---|---|---|---|---|
| 長三和音 | 長3度(M3) | 短3度(m3) | 完全5度(P5) | 大文字 例:I |
| 短三和音 | 短3度(m3) | 長3度(M3) | 完全5度(P5) | 小文字 例:i |
| 増三和音 | 長3度(M3) | 長3度(M3) | 増5度(A5) | + または aug |
| 減三和音 | 短3度(m3) | 短3度(m3) | 減5度(d5) | ° または dim |
判定の手順 ① 根音と3度音の音程を数える ② 長3度 → 長 or 増 / 短3度 → 短 or 減 ③ 次に3度〜5度を数えて確定。
暗記ポイント:「長短・長短」=長三和音。「短長・短長」=短三和音(長短が逆)。
暗記ポイント:「長短・長短」=長三和音。「短長・短長」=短三和音(長短が逆)。
機能和声(Functional Harmony)
調性音楽における和音の「役割」。トニック・サブドミナント・ドミナントの3機能が基本。
3つの和声機能
T
トニック
安定・休止感
I III VI
ハ長調:ドミソ/ミソシ/ラドミ
S
サブドミナント
展開・前進感
IV II
ハ長調:ファラド/レファラ
D
ドミナント
緊張・緊張感
V VII
ハ長調:ソシレ/シレファ
カデンツ(和音進行)の基本形
正格終止
I→
IV→
V→
I
(T→S→D→T)最も完結感が強い
変格終止
I→
IV→
I
(T→S→T)「アーメン終止」とも呼ぶ
半終止
I→
V
Vで止まる。未完結・問いかけの感じ
代理和音の仕組み
各機能の和音は共通音が多いため互いに代理できます。
T機能:I(ドミソ)と VI(ラドミ)は「ドとミ」が共通 → VI は I の代理
S機能:IV(ファラド)と II(レファラ)は「ファとラ」が共通 → II は IV の代理
D機能:V(ソシレ)と VII°(シレファ)は「シとレ」が共通 → VII° は V の代理
T機能:I(ドミソ)と VI(ラドミ)は「ドとミ」が共通 → VI は I の代理
S機能:IV(ファラド)と II(レファラ)は「ファとラ」が共通 → II は IV の代理
D機能:V(ソシレ)と VII°(シレファ)は「シとレ」が共通 → VII° は V の代理
VII° がドミナント機能を持つ理由
ハ長調の VII°(シ・レ・ファ)はドミナント7和音 V7(ソ・シ・レ・ファ)の「ソ」を省略した形です。V7 と共通音「シ・レ・ファ」を3つ持つため、同じ緊張感と解決方向(→ I)を持ちます。受験で理由を問われる最頻出ポイントです。
ハ長調の VII°(シ・レ・ファ)はドミナント7和音 V7(ソ・シ・レ・ファ)の「ソ」を省略した形です。V7 と共通音「シ・レ・ファ」を3つ持つため、同じ緊張感と解決方向(→ I)を持ちます。受験で理由を問われる最頻出ポイントです。
転回形(Inversion)
三和音の最低音を変えることで3種類の配置が生まれる。最低音が何の音かで識別する。
3種類の転回形(ハ長調 I 和音で例示)
基本形(第0転回形)
最低音 = 根音(ド)
数字なし(または5/3と表記)
最も安定した形
最も安定した形
第1転回形(六の和音)
最低音 = 第3音(ミ)
数字で「6」と表記(⁶₃)
最低音から6度上に根音
最低音から6度上に根音
第2転回形(四六の和音)
最低音 = 第5音(ソ)
数字で「6/4」と表記(⁶₄)
最低音から4度・6度上
最低音から4度・6度上
識別のコツ 最低音が何の音かを確認する。「根音が一番下 → 基本形」「3度音が一番下 → 第1転回形(六の和音)」「5度音が一番下 → 第2転回形(四六の和音)」。
和音記号の書き方:I⁶(Iの第1転回形)、I⁶₄(Iの第2転回形)と右肩の数字で表す。
和音記号の書き方:I⁶(Iの第1転回形)、I⁶₄(Iの第2転回形)と右肩の数字で表す。
転回形の安定度
基本形 > 第1転回形 > 第2転回形(不安定・経過的)
第2転回形(四六の和音)は特に不安定で、カデンツで V の前に置く「カデンツ四六」として使われます。
例:I⁶₄ → V → I(曲の締めくくりによく現れる)
第2転回形(四六の和音)は特に不安定で、カデンツで V の前に置く「カデンツ四六」として使われます。
例:I⁶₄ → V → I(曲の締めくくりによく現れる)
ハ長調(C-Dur)の全7和音
各度数の三和音の構成音・種類・機能を一覧で確認。五線上の音符も対応させて覚える。
七つの三和音(五線譜)
紫=根音(I和音のド) 各和音の下にローマ数字と機能を表示
一覧表
| 度数 | 根音 | 構成音 | 種類 | 機能 | ドイツ語 |
|---|---|---|---|---|---|
| I | ド(C) | C・E・G | 長三和音 | T(トニック) | C-dur Dreiklang |
| II° | レ(D) | D・F・A | 短三和音 | S(サブドミナント) | d-moll Dreiklang |
| III | ミ(E) | E・G・B | 短三和音 | T(トニック)代理 | e-moll Dreiklang |
| IV | ファ(F) | F・A・C | 長三和音 | S(サブドミナント) | F-dur Dreiklang |
| V | ソ(G) | G・B・D | 長三和音 | D(ドミナント) | G-dur Dreiklang |
| VI | ラ(A) | A・C・E | 短三和音 | T(トニック)代理 | a-moll Dreiklang |
| VII° | シ(B) | B・D・F | 減三和音 | D(ドミナント)代理 | h-vermindert |
ハ長調の特徴:長三和音は I・IV・V の3つ(すべて主要三和音)。短三和音は II・III・VI の3つ。VII° だけが減三和音です。
変化音なしがハ長調の特権。ト長調以降は調号の変化音に注意(例:ト長調のVII° = F♯・A・C)。
変化音なしがハ長調の特権。ト長調以降は調号の変化音に注意(例:ト長調のVII° = F♯・A・C)。
ト長調(G-Dur)との比較
ト長調の調号は F♯(ファ♯) 1つ。各和音の構成音に F♯ が含まれる場合は必ず変化させる。
V(D・F♯・A)← 特に F♯ の書き忘れが最多失点。
VII°(C♯・E・G)← C♯ にも注意が必要。
V(D・F♯・A)← 特に F♯ の書き忘れが最多失点。
VII°(C♯・E・G)← C♯ にも注意が必要。
演習問題(10問)
三和音の種類・機能和声・転回形に関する問題です。8問以上正解で添削課題へ進んでください。
添削課題(単元05)
紙に答えを書いて写真撮影後、LINEで「楽典 単元05」と明記して提出してください。48時間以内に添削して返却します。
提出方法:① A4白紙に問題番号と答えを記入 ② 明るい場所でスマホで撮影 ③ LINEの「課題提出」メニューから送信
問1 — 三和音の種類判定(10点)
次の各和音の種類(長・短・増・減)を答えなさい。また音程構成(例:長3度+短3度)も書くこと。
① C・E・G ② D・F・A ③ C・E♭・G ④ B・D・F ⑤ C・E・G♯
① C・E・G ② D・F・A ③ C・E♭・G ④ B・D・F ⑤ C・E・G♯
各2点(種類1点・音程構成1点)。
問2 — ハ長調の各度数(10点)
ハ長調の以下の和音の構成音を「ド・ミ・ソ」のような形式で答えなさい。また機能(T・S・D)も答えること。
① I度 ② IV度 ③ V度 ④ II度 ⑤ VII度
① I度 ② IV度 ③ V度 ④ II度 ⑤ VII度
各2点(構成音1点・機能1点)。
問3 — ト長調の和音(10点)
ト長調(G-Dur)の以下の和音の構成音を答えなさい。(調号:F♯ に注意)
① I度 ② V度 ③ IV度 ④ VII度 ⑤ V7(属七和音)
① I度 ② V度 ③ IV度 ④ VII度 ⑤ V7(属七和音)
各2点。F♯の書き忘れで-1点。
問4 — 転回形の識別(10点)
次の各和音は基本形・第1転回形・第2転回形のどれか答えなさい。また日本語の呼び名(例:六の和音)も書くこと。
① 最低音がE、和音はC・E・G ② 最低音がG、和音はC・E・G ③ 最低音がC、和音はC・E・G ④ 最低音がF、和音はD・F・A ⑤ 最低音がG、和音はE・G・B
① 最低音がE、和音はC・E・G ② 最低音がG、和音はC・E・G ③ 最低音がC、和音はC・E・G ④ 最低音がF、和音はD・F・A ⑤ 最低音がG、和音はE・G・B
各2点(転回形1点・呼び名1点)。
問5 — 記述(10点)
以下の問いに文章で答えなさい。
① VII度和音がドミナント機能を持つ理由を説明しなさい。(3〜4行)
② カデンツ四六和音(第2転回形のI和音)はどのような場面で使われるか説明しなさい。
① VII度和音がドミナント機能を持つ理由を説明しなさい。(3〜4行)
② カデンツ四六和音(第2転回形のI和音)はどのような場面で使われるか説明しなさい。
①6点・②4点。理由・仕組みが書けているかで評価。
採点基準(講師用)
問配点合格目安主な失点パターン
問1 種類判定10点8点増三和音・減三和音の音程混同
問2 ハ長調各度数10点8点VII°の機能をTと答える誤り
問3 ト長調10点7点F♯・C♯の書き忘れ
問4 転回形10点8点最低音で判定せず音の並びで判定
問5 記述10点6点V7との共通音に触れていない
合計50点40点以上で次単元へ