楽典 UNIT 09
四和音・機能和声
7th Chords & Functional Harmony
5
七和音の種類
V7
最重要
4
転回形
10問
演習問題数
この単元について
三和音に7度音を加えた「四和音(七和音)」は和声の核心。V7(属七和音)はすべての調性音楽で最重要の和音。
この単元で身につけること
- ●MM7・Mm7・mm7・dm7・dd7 の5種類の七和音を識別できる
- ●V7(属七和音)の構成音と解決先を即答できる
- ●V7の4つの転回形(V65・V43・V42)を理解できる
- ●T・D・Sの機能分類で各和音を正しく分類できる
- ●ハ長調でV7→Iの四声体解決(導音・7度音の動き)を書ける
学習の進め方
1
七和音の種類タブで5種類の構造を確認(15分)
2
V7(属七和音)タブで最重要和音を完全習得(15分)
3
機能と進行タブでT・D・Sを整理(10分)
4
演習10問 → 添削課題提出(20分)
受験での重要度:最高
七和音は和声分析・楽曲分析・対位法の全分野で必須。特にV7とその解決、減七和音(dd7)の対称性は頻出。四声体でV7→Iを書く問題は必ず出ます。
七和音は和声分析・楽曲分析・対位法の全分野で必須。特にV7とその解決、減七和音(dd7)の対称性は頻出。四声体でV7→Iを書く問題は必ず出ます。
七和音の5種類
三和音の種類(長・短・増・減)に7度音(長7度・短7度・減7度)を組み合わせて5種類が生まれる。
5種類の七和音一覧
| 記号 | 名称 | 構造 | 代表例(ハ長調) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| MM7 | 長長七和音 | 長三和音 + 長7度 | I△7、IV△7 | 柔らかく明るい |
| Mm7 | 長短七和音(属七) | 長三和音 + 短7度 | V7 ★最重要 | 強い解決感 |
| mm7 | 短短七和音 | 短三和音 + 短7度 | ii7、iii7、vi7 | 穏やかな緊張 |
| dm7 | 減短七和音(半減七) | 減三和音 + 短7度 | vii7(自然短音階) | D機能・やや不安定 |
| dd7 | 減減七和音(減七) | 減三和音 + 減7度 | vii°7(和声短音階) | 完全対称・D機能 |
構成音の積み方(ハ長調)
MM7(長長七)— I△7
ド ミ ソ シ
C – E – G – B
長3度 + 短3度 + 長3度
長3度 + 短3度 + 長3度
Mm7(長短七)— V7 ★
ソ シ レ ファ
G – B – D – F
長3度 + 短3度 + 短3度
長3度 + 短3度 + 短3度
mm7(短短七)— ii7
レ ファ ラ ド
D – F – A – C
短3度 + 長3度 + 短3度
短3度 + 長3度 + 短3度
dd7(減減七)— vii°7
シ レ ファ ラ♭
B – D – F – A♭
短3度 + 短3度 + 短3度(完全対称!)
短3度 + 短3度 + 短3度(完全対称!)
減七和音(dd7)の完全対称性
短3度を3つ積み重ねた減七和音は、どの音を根音にしても同じ音の集合。B-D-F-A♭ = D-F-A♭-B = F-A♭-B-D。この性質を使った異名同音転調は上級テーマ。
短3度を3つ積み重ねた減七和音は、どの音を根音にしても同じ音の集合。B-D-F-A♭ = D-F-A♭-B = F-A♭-B-D。この性質を使った異名同音転調は上級テーマ。
長調での七和音分布
ハ長調: I(MM7), ii(mm7), iii(mm7), IV(MM7), V(Mm7★), vi(mm7), vii°(dm7)
ハ長調: I(MM7), ii(mm7), iii(mm7), IV(MM7), V(Mm7★), vi(mm7), vii°(dm7)
V7(属七和音)— 最重要七和音
全調性音楽を通じて最も重要な和音。ドミナント機能を持ち、トニックIへ強力に解決する。
ハ長調のV7(G-B-D-F)
V7 = ソ シ レ ファ(G – B – D – F)
| 声部 | 音名 | 音の役割 | 解決先 |
|---|---|---|---|
| 根音 | G(ソ) | V7の根音 | I の根音 C(ド)へ |
| 3度 | B(シ)= 導音 | 導音(調の7音) | 上行→ C(ド)へ ★必須 |
| 5度 | D(レ) | 5度音 | I の5度G(ソ)へ、または省略 |
| 7度 | F(ファ) | 7度音(不協和) | 下行→ E(ミ)へ ★必須 |
解決の鉄則
① 導音B(シ)は必ず上行してC(ド)へ
② 7度音F(ファ)は必ず下行してE(ミ)へ
この2つを守れば和声法の問題で大きく減点されません。
① 導音B(シ)は必ず上行してC(ド)へ
② 7度音F(ファ)は必ず下行してE(ミ)へ
この2つを守れば和声法の問題で大きく減点されません。
V7の4つの転回形
| 形 | 記号 | 最低音 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 根位置 | V7 | G(根音) | 最も安定・最もD機能が強い |
| 第1転回形 | V65 | B(3度=導音) | 導音が低声に来る |
| 第2転回形 | V43 | D(5度) | 流れるような進行に使われる |
| 第3転回形 | V42 | F(7度) | 7度が低声=最も緊張度が高い |
数字付き低音(figured bass)の読み方
V65 = 低音から6度・5度上の音を含む → 第1転回形
V43 = 低音から4度・3度上 → 第2転回形
V42 = 低音から4度・2度上 → 第3転回形
V65 = 低音から6度・5度上の音を含む → 第1転回形
V43 = 低音から4度・3度上 → 第2転回形
V42 = 低音から4度・2度上 → 第3転回形
V7→I の四声体解決(省略あり)
V7(G B D F) → I(C E C E) ← 5度D省略、根音と3度のみ
・Soprano: B(シ)→ C(ド) 上行(導音解決)
・Alto: G(ソ)→ G(ソ) 保留
・Tenor: D(レ)→ E(ミ) 上行(または省略)
・Bass: F(ファ)→ E(ミ) 下行(7度解決)
※ Iの5度音G(ソ)は省略されることが多く、根音を重複させる。
・Soprano: B(シ)→ C(ド) 上行(導音解決)
・Alto: G(ソ)→ G(ソ) 保留
・Tenor: D(レ)→ E(ミ) 上行(または省略)
・Bass: F(ファ)→ E(ミ) 下行(7度解決)
※ Iの5度音G(ソ)は省略されることが多く、根音を重複させる。
その他の七和音
V7以外の七和音の構成と用法。特にI△7・ii7・vii°7は受験頻出。
I△7(長長七和音)
ハ長調 I△7 = C E G B(ドミソシ)
・長三和音(C-E-G) + 長7度(B)
・トニック機能(T)
・△7 または maj7 と表記
・ジャズでも多用される柔らかい響き
・トニック機能(T)
・△7 または maj7 と表記
・ジャズでも多用される柔らかい響き
ハ長調 IV△7 = F A C E(ファラドミ)
・長三和音(F-A-C) + 長7度(E)
・サブドミナント機能(S)
・Iに解決する前のS機能を強化
・サブドミナント機能(S)
・Iに解決する前のS機能を強化
ii7(短短七和音)— サブドミナントの代理
ハ長調 ii7 = D F A C(レファラド)
- 短三和音(D-F-A) + 短7度(C)
- サブドミナント機能(S) ii7 → V → I が定型進行
- IVよりも滑らかにVへ進める
- ジャズでは「ツーファイブワン(ii7-V7-I)」と呼ぶ
ii7 → V7 → I
vii°7(減七和音)— ドミナント代理
ハ長調 vii°7 = B D F A♭(シレファラ♭)
- 減三和音(B-D-F) + 減7度(A♭)
- ドミナント機能(D)— vii°7 → I
- 短3度が3つ積み重なる完全対称形
- 異名同音転調の要として重要
受験での出題パターン
①「次の七和音の種類(MM7/Mm7/mm7/dm7/dd7)を答えよ」
②「ハ長調のV7の構成音を答えよ」
③「減七和音が完全対称と言われる理由を説明せよ」
①「次の七和音の種類(MM7/Mm7/mm7/dm7/dd7)を答えよ」
②「ハ長調のV7の構成音を答えよ」
③「減七和音が完全対称と言われる理由を説明せよ」
機能和声(Functional Harmony)
調性音楽の和音はT(トニック)・D(ドミナント)・S(サブドミナント)の3機能に分類される。七和音も同様に機能を持つ。
ハ長調における機能分類(七和音含む)
T(トニック)— 安定・主音
I(ドミソ)
I6
I△7(ドミソシ)
vi(ラドミ)
※I64は弱いトニック(掛留和音)
D(ドミナント)— 緊張・解決
V(ソシレ)
V7(ソシレファ)★
vii°(シレファ)
vii°7(シレファラ♭)
V65 / V43 / V42
S(サブドミナント)— 動き・平和
IV(ファラド)
IV△7(ファラドミ)
ii(レファラ)
ii7(レファラド)
機能進行の法則
T
→
S
→
D
→
T
| 現在の機能 | 次に来られる機能 | 来られない進行 |
|---|---|---|
| T(トニック) | T・S・D すべて可 | なし |
| S(サブドミナント) | S・D | S→T は弱い(偽終止的) |
| D(ドミナント) | T(解決) | D→S は避ける ⚠️ |
最重要進行パターン(暗記必須)
正格終止:V7 → I(最も強い終止)
変格終止:IV → I(アーメン終止)
定型進行:ii7 → V7 → I(S→D→T)
半終止:I → V(中間の停止)
正格終止:V7 → I(最も強い終止)
変格終止:IV → I(アーメン終止)
定型進行:ii7 → V7 → I(S→D→T)
半終止:I → V(中間の停止)
D→Sが避けられる理由
ドミナントVはトニックIへの強い解決感を持つ。Vから急にSへ向かうと聴き手の期待が裏切られ、進行の流れが逆流する感じになる。ただし「欺き終止(V→vi)」は例外として多用される。
ドミナントVはトニックIへの強い解決感を持つ。Vから急にSへ向かうと聴き手の期待が裏切られ、進行の流れが逆流する感じになる。ただし「欺き終止(V→vi)」は例外として多用される。
演習問題(10問)
七和音の種類・V7・機能和声の問題です。8問以上で添削課題へ進んでください。
添削課題(単元09)
紙に答えを書いて写真撮影後、LINEで「楽典 単元09」と明記して提出してください。
提出方法:① A4白紙に問題番号と答えを記入 ② スマホで撮影 ③ LINEの「課題提出」メニューから送信
問1 — 七和音の構成音(10点)
ハ長調の次の七和音の構成音を答えよ(例:ドミソシ)。
① I△7 ② V7 ③ ii7 ④ vii°7 ⑤ vi7
① I△7 ② V7 ③ ii7 ④ vii°7 ⑤ vi7
各2点。
問2 — 七和音の種類判定(10点)
次の七和音の種類を答えよ(MM7 / Mm7 / mm7 / dm7 / dd7)。
① G–B–D–F ② C–E–G–B ③ D–F–A–C ④ B–D–F–A♭ ⑤ F–A–C–E
① G–B–D–F ② C–E–G–B ③ D–F–A–C ④ B–D–F–A♭ ⑤ F–A–C–E
各2点。
問3 — V7の転回形(10点)
V7の4つの形(根位置・第1転回形・第2転回形・第3転回形)の記号と最低音をそれぞれ答えよ。
各2点(記号1点・最低音1点)。
問4 — V7→I の解決(10点)
ハ長調でV7→Iの解決を四声体で書くとき、以下の問いに答えよ。
① 導音B(シ)はどこへ進むか(声部進行の方向も含めて)
② 7度音F(ファ)はどこへ進むか(声部進行の方向も含めて)
③ I(トニック)に来たとき省略されることが多い音はどれか
① 導音B(シ)はどこへ進むか(声部進行の方向も含めて)
② 7度音F(ファ)はどこへ進むか(声部進行の方向も含めて)
③ I(トニック)に来たとき省略されることが多い音はどれか
①4点・②4点・③2点。
問5 — 機能和声の分類(10点)
T・D・Sの機能分類表を作成し、各機能に属する三和音と七和音をすべて書け(ハ長調基準)。
また「D→S の進行が避けられる理由」を1〜2文で説明せよ。
また「D→S の進行が避けられる理由」を1〜2文で説明せよ。
表6点・記述4点。
採点基準(講師用)
問配点合格目安主な失点パターン
問1 構成音10点8点変化音(A♭等)の書き忘れ
問2 種類判定10点8点dm7とdd7の混同
問3 転回形10点8点記号V65・V43・V42の誤り
問4 解決10点8点導音の下行・7度音の上行
問5 機能分類10点7点viの機能(T)を間違える
合計50点40点以上で次単元へ