音楽受験対策オンライン塾 楽典教材 単元15 / 全22単元 目次へ
楽典 UNIT 15

音程の転回

Interval Inversion

⏱ 学習目安 40分 📝 演習 10問 ✏️ 添削課題 50点 ⭐ 重要度 高
9
補数の和
長↔短
増↔減
品質変換
完全↔完全
完全音程
10問
演習問題数
この単元について
音程の転回は「9から引く」という明快な法則で解ける。和音の転回形(第1・第2転回形)の理解にも直結する重要単元。
この単元で身につけること
  • 転回の定義(下の音を1オクターブ上に移す)を正確に説明できる
  • 「度数の和 = 9」の法則を使って転回後の度数を即答できる
  • 品質変換(長↔短・増↔減・完全↔完全)を間違いなく適用できる
  • 和音の基本形・第1転回形・第2転回形を区別できる
  • 増4度と減5度がトリトヌスとして転回関係にあることを説明できる
学習の進め方
1
転回とはタブで定義を確認(5分)
2
数の転回タブで「9から引く」法則を習得(10分)
3
品質の転回タブで変換表を暗記(10分)
4
演習10問添削課題提出(15分)
受験での重要度:高
音程の転回は和声分析・三和音の転回形を理解するための必須知識。特に「9から引く」法則品質変換(長↔短)は確実に押さえること。増4度↔減5度(どちらもトリトヌス)は頻出問題。
音程の転回(Inversion of Interval)とは
2音のうち下の音を1オクターブ上に移す(または上の音を1オクターブ下に移す)操作。結果として音程の大きさと性質が変化する。
転回の操作
方法A:下の音を1オクターブ上に上げる
方法B:上の音を1オクターブ下に下げる
→ どちらの方法でも同じ転回音程になる
例:C(ド)と E(ミ)で作る長3度
↓ 下の C を1オクターブ上げる
E(ミ)と C(高いド)→ 短6度
転回で変わるもの・変わらないもの
変わるもの
・度数(3度 → 6度 など)
・品質(長 → 短 など)
・音の上下関係
変わらないもの
・2つの音そのもの(C と E はどちらも存在)
・構成音名
・トリトヌスの「音程幅」(特殊)
イメージで覚える:2音が入ったコップをひっくり返すようなイメージ。下にあった音が上に来ることで、2音間の「距離の測り方」が変わる。でも2つの音自体は変わらない。
なぜ転回を学ぶか
和音の転回形:三和音の第1・第2転回形を理解するために必須
和声分析:数字付き低音(figured bass)の読み取りに使う
対位法:声部交差後の音程変化を素早く把握するために使う
問題の効率化:転回を使えば、難しい音程を簡単な音程に変換できる
数の転回:「9から引く」法則
音程を転回すると、元の度数と転回後の度数の和は必ず9になる。
法則
転回後の度数 = 9 − 元の度数
例:3度 → 9−3 = 6度 | 4度 → 9−4 = 5度 | 2度 → 9−2 = 7度
全度数の変換表
元の度数転回後の度数確認(和)
1度8度1+8=9 ✓
2度7度2+7=9 ✓
3度6度3+6=9 ✓
4度5度4+5=9 ✓(最重要)
5度4度5+4=9 ✓(最重要)
6度3度6+3=9 ✓
7度2度7+2=9 ✓
8度1度8+1=9 ✓
なぜ「9」なのか?
下の音(C)を数え始めると C=1。上のCまでのオクターブは C=1, D=2, E=3, F=4, G=5, A=6, B=7, C=8。C同士が1度と8度なので 1+8=9。両端の音を両方「1」と数えるため、足すと必ず9になる。
練習:瞬答トレーニング
3度を転回すると? → 6度(9−3)
6度を転回すると? → 3度(9−6)
2度を転回すると? → 7度(9−2)
7度を転回すると? → 2度(9−7)
4度を転回すると? → 5度(9−4)
5度を転回すると? → 4度(9−5)
品質の転回:品質はどう変わるか
音程を転回すると度数だけでなく「品質(長・短・完全・増・減)」も変化する。
品質変換の法則
完全音程
完全(P)
完全(P)
完全音程は転回しても完全のまま
不完全音程
長(M)短(m)
増(A)減(d)
具体的な転回例
元の音程転回後の度数品質変換転回後の音程
長3度(C–E)9−3=6度長→短短6度
短3度(C–E♭)9−3=6度短→長長6度
完全4度(C–F)9−4=5度完全→完全完全5度
増4度(F–B)9−4=5度増→減減5度(トリトヌス)
長2度(C–D)9−2=7度長→短短7度
短7度(C–B♭)9−7=2度短→長長2度
完全1度(同音)9−1=8度完全→完全完全8度
長6度(C–A)9−6=3度長→短短3度
増4度↔減5度(トリトヌス)の特殊性
増4度(F–B)を転回すると減5度(B–F)になる。どちらも半音6つ=三全音(トリトヌス)。唯一「転回しても同じ音程幅」のまま品質だけが変わる特殊ケース。受験頻出!
確認の方法(半音で検算):元の音程の半音数 + 転回後の半音数 = 12(1オクターブ)になることを確認する。例:長3度4半音 + 短6度8半音 = 12 ✓
和音の転回への応用
音程の転回の考え方は、三和音・七和音の転回形(基本形・第1・第2・第3転回形)に直接応用される。
三和音の転回形
最低音(バス)記号数字付き低音特徴
基本形根音(第1音)Iなし(省略)最も安定
第1転回形第3音I66やや軽い
第2転回形第5音I646/4不安定(四六)
例:ハ長調の主和音(C-E-G)
基本形
C-E-G
バス:C(根音)
上部音程:3度+5度
第1転回形
E-G-C
バス:E(第3音)
上部音程:3度+6度 → 「6の和音」
第2転回形
G-C-E
バス:G(第5音)
上部音程:4度+6度 → 「四六の和音」
七和音の第3転回形
七和音(4音)はさらに第3転回形がある。
例:G7(G-B-D-F)の第3転回形 → F-G-B-D(第7音 F がバスに来る)
数字付き低音:4/2(または 2 と略記)
特徴:最も不安定。解決(次のIなど)への強い圧力がある。
「6の和音」の名称の由来
第1転回形でバス音(第3音)から数えると、根音まで6度ある。この「6」から「6の和音」と呼ばれる。数字付き低音はバス音からの音程を示す表記法。
第2転回形(四六の和音)は不安定
バスが第5音(ソ)のため、属和音(V)的な響きになり不安定。終止の直前に使う「終止四六」や、経過的に使う「経過四六」など、使われる文脈が限られる。受験問題では「第2転回形は解決が必要」と押さえること。
演習問題(10問)
音程の転回に関する問題です。8問以上で添削課題へ進んでください。
添削課題(単元15)
紙に答えを書いて写真撮影後、LINEで「楽典 単元15」と明記して提出してください。
提出方法:① A4白紙に問題番号と答えを記入 ② スマホで撮影 ③ LINEの「課題提出」メニューから送信
問1 — 転回音程の答え方(10点)
以下の音程を転回し、転回後の音程名(例:長3度)を答えよ。
① 完全5度 ② 長3度 ③ 短6度 ④ 増4度 ⑤ 短2度 ⑥ 完全8度 ⑦ 長7度 ⑧ 完全4度 ⑨ 短3度 ⑩ 長6度
各1点。度数・品質の両方を正確に書くこと。
問2 — 和音の転回形(10点)
ハ長調の主和音(C-E-G)について、基本形・第1転回形・第2転回形を五線上に書き、各形のバス音と上部音程(数字付き低音の記号)を説明せよ。
各形 2点(バス音1点・音程説明1点)、計 6点。残り4点は五線の記譜が正確かどうか。
問3 — トリトヌスと転回(10点)
「増4度と減5度は転回の関係にある」ことを説明し、なぜどちらも「トリトヌス」と呼ばれるか述べよ。具体的な音名(例:F と B)を用いること。
説明5点・音名の使用2点・トリトヌスの定義3点。
問4 — 転回規則の応用(10点)
音程の転回規則(度数の和=9・品質変換)を使って、次の音程の転回を完全に答えよ(転回後の度数+品質)。
① 長7度 ② 減5度 ③ 短6度 ④ 完全1度
各2点(度数1点・品質1点)。
問5 — 七和音の転回形(10点)
七和音(例:G7 = G-B-D-F)の第3転回形を説明し、バス音が何になるか、また数字付き低音でどう表記するか述べよ。第3転回形が「不安定」とされる理由も加えること。
第3転回形の説明3点・バス音の特定2点・数字付き低音2点・不安定の理由3点。
採点基準(講師用)
配点合格目安主な失点パターン
問1 転回音程10点8点品質変換(長↔短)の誤り
問2 転回形10点8点第1・第2の区別混同
問3 トリトヌス10点7点半音数(6つ)の言及漏れ
問4 規則応用10点8点完全1度→完全8度の見落とし
問5 七和音転回10点6点第3転回形のバス音(第7音)の誤り
合計50点40点以上で次単元へ